05
「あ、タクトさん!」
「やぁ、レミくん。お待たせ。欲しいものは見つかったかい?」
「え、あぁ…まぁ、はい…」
「ほんと?なにかな」
「…え、とその…まだ秘密です!」
「え?それって明日でも間に合うもんなの?」
「えっと…っあ、とりあえず家入りましょう!そろそろみんな来ちゃいますよ!」
「えっ?ちょっと、レミくん?!」
レミくんが今欲しいものなんて、
俺には『彼』との再会以外見つからなかった。
「今日は久しぶりにみんなに会えますね!」
「レミくんが楽しければなにより…あ、酒出しとこ。レミくんも飲むし」
「へっ?…あの、僕は飲みませんよ?…ちょっと、タクトさん…っ!?」
癒えない。
忘れられない。
忘れちゃいけない。
「わかってるって。レミくんとエリカにはシャンパンでも用意しとく」
「シャンパン……それって、お酒ですか?」
「ううん」
「あ、じゃあそれで」
「おっけー」
ねぇ、レミくん。
酷なようだけれど、俺も考えるから。
俺も真剣に向き合って、みんなと出会ったことの意味を、生きる意味を、胸に広がる罪悪感を、抱えて生きていくから。
どうか君もまた、必死に生きて欲しい。
エゴに塗り固められた、願いを祈る。
『そのために傷付けた人間も居ることを、僕はけして忘れてはいないんだ』
だれもがループの中で、生きているんだ。
『ピンポーン』
「あっ、みんな来たみたい。僕、出て来ますね!」
「うん、気を付けて」
「?」
ドタバタと玄関までかけると、ガチャリと鍵を開ける音。
ついで、爆発音のような、弾ける音の連続。
パンパンパンッ!!!
「「「お誕生日おめでとう!!(レミくん!)(レミ!)(レミレミ!)!!!」」」
…あぁ、今日は賑やかな一日になりそうだな。
なんて、
ネクタイを緩めて、俺は少しだけ笑った。
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